愛してるって気持ちだけじゃ届かない

「どこで話が私とあんたに変わったのよ。わかんないわよ」

「はぁっ…話の流れ的におまえの話してただろう」

「どこがよ」

「台無しかよ」

「私のせいだって言うの」

「あー、俺の言葉の足りないせいだ。くそ…透に笑われるな」

透というのは、慧と私が高校の時からいまだに仲良くしてる悪友だが、家庭の事情と愛しい彼女事情で、今回の同窓会には参加しなかった。

「心が折れた。今日はもう無理だ。近々、仕切り直すから、待ってろ」

そう言ったくせにやる事はやるらしく、いつものようにホテルに向かった。

セフレなのは変わらない、今までと何も変わらない行為の中、慧は私を組み敷いて甘いセリフを言う。

「ちゃんとわかってるか⁈最初におまえを抱いた時は、慰め合う為に抱いたわけじゃない…それまでの関係を壊す覚悟で抱いたんだ。これ以上、他の男の影がチラつくなんて許さないからな」

もしかしたらという期待で、いつも以上に幸せを感じるのは、あの人の影がちらつかなくなったからだろう。

「慧以外、いないよ」

甘える仕草で手を伸ばし、首に抱きついて引き寄せた。

「当たり前だ」

そう言うなり、慧によって何度も喘がされ、離してもらえたのは意識を失ってからだった。

数日後、職場の後輩の愛梨の表情が暗く、綺麗に隠してるつもりでいるが、瞼が腫れぼったい。
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