愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「菜緒、そろそろなにか食べなくていいか? フルーツ盛り合わせとか頼む?」
「ううん、まだ大丈夫」
「そう? ちょっと風、強くなってきたな。菜緒、寒くない?」
「平気平気」
「でも冷えるといけないから。窓を少し閉めようか」
「大丈夫だよ、心配しすぎだから」


体温を確認したかったのか、涼介さんは私の手を握った。
それを見て、私たちの正面に座る三人の目が点になる。


「なんか……あの王子様だった月島のこんな甲斐甲斐しい姿を見られるなんて、貴重な経験だわ」


起伏のない智美の言い方に、由香と幸乃も深く頷いた。


「ほんと、私たちと菜緒にでは、あからさまに態度が違うんだもん」
「菜緒、愛されてるね!」


由香が冷やかすような声で言うと、涼介さんは私の手を握ったままで口を開いた。


「それだけは自信があるよ」


途端に頬が熱くなる。
恥ずかしすぎてすぐにサッと下を向いた私を、誰もそれ以上からかわなかった。
上目遣いでちらりと見ると、三人も私と同じように照れているようで、頬を赤く染め気まずそうにしている。


「そ、そういえばさ、覚えてる? 図工の時間に将来の夢の絵を描いたとき、みんなはなんの絵を描いたの?」


私は焦って話題をそらした。


「私は、保育士だったかな」
「私はなんだったか……忘れたなぁ」
「私は、実家の歯科医院を継ぐ絵だった。親が喜んでしばらく飾ってくれたから、よく覚えてる。菜緒は?」


幸乃に問われ、私は回想する。
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