愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「私は、お嫁さんだったかな。兄の結婚式に出席した後だったから、心に残ってて」


でもあの絵、どうしたっけな……。
涼介さんは実家で綺麗に保存してあったから、私も学校から持ち帰ったはずだ。

でも、家で見た記憶がない。


「そういえば今日、山岡も来たがってたんだよ」


今度母に聞いてみようかな、と考えていたとき、思い出したように智美が言った。


「え、山岡くんが?」


何度か同じ係やクラブになった経験がある山岡くんは、クラスの男子の中ではわりと話しやすくて仲がよかった。
数年前の同窓会で再会したときも、そのまま大人になった感じで元気そうだったっけ。


「でも、月島に絶対来るなって言われたって、落ち込んでたよ」


智美は涼介さんを責めるような口調で言った。


「え、どうして涼介さんが来るななんて言ったの?」
「大切な妻に悪い虫が付かないようにしたまでだよ」


私の質問に、涼介さんはこともなげにサラッと答える。


「悪い虫?」
「たしかにまあ、山岡はずっと菜緒を狙ってたからね」
「かわいそうだけど仕方ないか!」


三人が顔を見合わせて話す中、涼介さんは涼しい顔をしていたけれど、山岡くんの件を初めて知った私は随分居心地が悪かった。


「けど、今日は月島の新たな一面が見れてすごく新鮮だね」
「ねー。菜緒への愛が半端ないね」
「そういうこと言うとまた惚気られちゃうよ!」


個室では、いつまでも笑い声が絶えなかった。

安定期に入ったらまた会う約束をして、私たちは毛利亭の前で別れた。

気の置けない友だちと話している間はお喋りに集中できて楽しい時間だったから、つわりがあまり気にならなかった。とてもいい気分転換。

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