愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「――失礼します」


暗い気持ちになって箸を置いたとき、静かに戸が開いた。


「月島さん、今日はわざわざお越しくださり、どうもありがとうございます」


母が畳に手をついて、丁寧にお辞儀をする。


「うちの料理はお口に合いましたか?」
「ええ、とっても。美味しくいただきました」
「旬の時期にはのどぐろのお造りもお出ししてますので、ぜひ食べにいらしてくださいね」
「はい、ありがとうございます」


母はにこやかに頷いた。


「ちょっと失礼してもよろしいですか? お手洗いをお借りします」


月島くんが席を立つ。
母が案内し、また部屋に戻ってきた。


「どう? 思い出話は弾んでる?」


戸の外をチラチラと気にしながら、母が楽しそうに言った。


「お母さん、お見合い相手の月島くんが同級生だって知ってたの?」
「もちろん。月島くん、本当にハンサムよね! お母さんたちの間でも、将来絶対イケメンになるって有名だったのよ」


母が私に耳打ちする。


「小学生の頃から、みんなから好かれる人気者だったわね」
「そうだったね」


たしかに月島くんは男女問わずみんなから好かれるタイプで、実家が大会社ってことを鼻にかけなかったし、誰にでも親切で優しかった。

そんな月島くんが、どうして私とお見合いをしたのだろう。余計に謎だ。


「でも今は、よくわからないわ。性格も変わってるかもしれない」


月島くんがよくわからない。なにを考えているのか。

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