愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「聞こえる? パパだよ」


半身を起こした涼介さんが、お腹に向かって穏やかな声色で話しかけた。


「夜ふかししたらダメだよ」


私はぷっと吹き出した。
涼介さんが注意したら、ピタリと動かなくなったのだ。


「パパもママも、会える日を楽しみにしてるよ」


その涼介さんの声に答えるように、ポコッと一度動いてから静かになった。


「あれ、眠ったのかな」
「もう動いてない?」
「うん。パパの言いつけ、ちゃんと守ったみたいね」


ふっと柔らかく微笑んだ涼介さんは、私の頭を持ち上げて腕枕にすると仰向けになった。


「今日はいろんな意味で一生忘れられない日になったな」


私のお腹に手をあてて、目を閉じた私の頭をもう片方の手でポンとなでた。


「温かくて素晴らしい結婚式だったし、菜緒の白無垢を着るという夢が叶ったし。本当に息を飲むほど美しくて、感動したよ」
「え……」


褒められてうれしいのだけれど、私はほかの言葉が気になった。


「涼介さん、私の夢が白無垢を着ることだって、どうして知ってるの?」


たしか智美たちと集まったとき、将来の夢を絵に描いた話題で私は当時お嫁さんを描いたと言った。
具体的に白無垢とまでは話してない。


「だって、描いている菜緒を見てたから」


涼介さんは平然と言って、「おやすみ」と耳元でささやく。

そっか、席が隣同士だったからか。それにしてもよく覚えてるなぁ。

涼介さんの優しさと、初めてのかわいい胎動に胸をほっこりさせながら、私は眠りについた。


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