愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「本当にごめんなさい。私、失礼なことばかり……」
「全然気にしてない。むしろ知ってもらう機会を得られたと感謝してる」


こともなげに言って、月島くんは再び私の視線を奪った。


「俺、毛利さんに運命感じてるんだ」


運命……?

お見合いだもの、結婚する気がなければ断らなくてはならない。
大人になった月島くんを知るために、結婚を前提に付き合うの?

頭の中で自問自答を繰り返し、私はようやく口を開く。


「少し、考えさせてもらえる?」


月島くんと結婚なんて、現実的に考えられない。
傲慢かもしれないけれど、中途半端な気持ちではかえって失礼だと思った。

月島くんは睫毛を伏せる儚げな表情で口を開く。


「今日、本当に驚いたんだ。毛利さんがあまりにも綺麗になってるから」
「は?」


私はぽかんと口を開けた。


「やっぱり仲居さんだからか所作も見惚れるくらい素敵だったし、その着物もすごくよく似合ってる。ずっと見て、目に焼き付けておきたいくらい」


見惚れるくらい素敵だったのは、口を開けた間抜け顔の私じゃなくて月島くんの方だ。
心の中ではそう冷静に反論できたのに、私の頬は急激に熱くなる。


「……あり、がとう」


たどたどしい調子でつぶやいた。
綺麗とか素敵とか、家族以外の男性に褒められる機会がなかったから、単純に純粋にすごくうれしかったんだ。
照れて頬が一気に真っ赤になった。


「じゃあ、また。連絡するね」


月島くんは茹でタコ状態の私に微笑みかけ、くるりと踵を返して去って行った。

こんなにカッコよくて、女性慣れしているであろう月島くんには褒めるくらい造作なく、日常茶飯事なありふれたものかもしれない。

でも私は、月島くんの後ろ姿を見つめたまま、しばらく心臓のドキドキが鳴り止まないくらいこそばゆかった。
< 13 / 119 >

この作品をシェア

pagetop