愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
着物から普段着に着替え、自分の部屋に戻った私はテーブルの上に置きぱなしだったお見合い写真を開いた。

スーツ姿の月島くんが澄ました顔で写っている。実在するのか、にわかには信じがたいほど整った容姿に今更ながら驚く。
挟まれた釣書に経歴や連絡先が記入してあった。


「最初に見ておけばよかった……」


後悔しながらお見合い写真を閉じると、私は押し入れの奥から小学校のアルバムを引っ張り出した。


「うわ、懐かしい」


表紙を開くと古い紙の匂いがする。
クラスごとに載っているページを捲ると、月島くんと私は同じページの端に写っていた。
まだあどけない表情の私とは違い、月島くんはすでに出来上がった凛々しい顔つきをしている。

どの女の子ももれなくみんな、月島くんのファンだった。
月島くんが他校に進学しちゃうから、卒業式で泣いてる子もたくさんいた。
私が隣の席になったときは羨ましがられたっけ。


「――菜緒、ちょっといいか?」


部屋のドアの向こうから兄の声がした。


「どうぞ」


私はベッドに座り、アルバムを開いたまま開いたドアの方を一瞥する。


「母さんに聞いたぞ。お見合いの相手って、月島不動産の御曹司だったって?」


言いながら部屋に入って来た兄は、私が広げたアルバムを覗き込んだ。


「うん、この人」


私は小学生の月島くんを指差す。


「へえ、どれどれ」


兄が興味深げにアルバムに見入った。
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