愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~



高級住宅街に入ってから、周りはどこを見渡しても大きな豪邸ばかりだった。
沿道に植えられた街路樹の葉が陽光に照らされ、明るい緑色に輝いている。

私は涼介さんの休みに合わせて日曜日に休暇をもらい、今日は涼介さんの実家に向かっている。
涼介さんのご両親から、一度遊びに来ないかとお誘いがあったのだ。

涼介さんは毛利亭に来てくれたり、母と勝手にやり取りしているようだけれど、私は涼介さんのご両親にきちんとご挨拶できていなかったのでずっと気にかかっていた。
だからいい機会だと思い、休みを合わせたのだ。

藤井さんの部屋に涼介さんが突入して来た日、母と話し合い、私はすでにランチタイム専任の仲居として勤務している。
兄や美弥子さんもその方がいいと言ってくれたので、その気持ちに甘えることにした。

綺麗に整備された街並みを抜け高台に上ると、一際大きなレンガ造りの建物が見えてきた。
その建物の門の脇の高級外車が並んで停まる駐車場に、涼介さんは駐車した。


「着いたよ、菜緒」
「う、うん」


こんなに大きなお宅だなんて聞いてない。正面から見た感じ、毛利亭と同じくらいの敷地面積なんじゃないだろうか。

涼介さんのご両親は小学生の頃に行事でお見かけしたけれど、会うのはそれ以来なので緊張する。
鼓動がどんどん駆け足になって、私は意識して深呼吸した。

自動で開閉する立派な門を通過し、玄関先で足を止める。
ここに来て、手土産をもっと違うものにすればよかったのではないかとか、シンプルなベージュのワンピースが地味すぎたんじゃないかとか、いろいろ気になって落ち着かない。


「ただいま」


涼介さんが重厚な玄関の扉を開ける。
動機の激しさが最高潮に達したとき、ご両親が私たちを迎えてくれた。


「いらっしゃい。涼介、菜緒ちゃん」
「菜緒ちゃん、久しぶりね!」


ご両親は私の緊張を吹き飛ばすくらいの満面の笑顔を浮かべた。
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