愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「はい、お久しぶりです。この度はお招き頂きましてどうもありがとうございます。ご挨拶が遅くなり大変申し訳ありません」


私が深々と頭を下げると、ご両親は大仰に両手を左右に振った。


「とんでもない! 今日会えるのをとっても楽しみにしてたのよ。菜緒ちゃん、綺麗なお嬢さんになったわね。ご縁があってうれしいわ」


上品に微笑むお母様の方が、小学生の頃からタイムスリップしてきたのかと疑うほど若々しくて美しい。
おふたりともスラッとされていて背が高くお若いけれど、涼介さんの輪郭やくっきりとした二重、整った鼻梁はお母様似なのだな、と思った。


「そう仰って頂けてとても光栄です。ありがとうございます」
「さあさあ、立ち話もなんですからとにかく中にどうぞ」


涼介さんに促され、私は玄関でパンプスを脱ぐとお手伝いの方が出してくれたスリッパに履き替えた。

月島邸は外観も素晴らしかったけれど、内装もまた民家をは思えないくらい豪華で広々としている。
広いリビングには格調高いモダンな家具が置かれ、木蓮の花のようなデザインのシャンデリアがお洒落で素敵だった。

部屋の壁のいたるところに絵画が飾られている。お父様のご趣味だろうか。
見た経験のある絵もあって、本物かなって考えたらその予想金額に身構えてしまう。

私たちは和室に通された。
床の間には季節の花が飾られていて、雪見障子からは葉が木漏れ日に照らされている様子が見えた。
洋風なリビングの印象からは想像できない、本格的な和室だった。


「あの、こちら地元で有名な菓子舗の羊羹でして」


私は手土産を紙袋から取り出して、向かい側に座るご両親にお渡しした。


「ここの羊羹好きなのよ、ありがとう」


お母様の笑顔を見て、私はホッとひと安心した。
涼介さんにリサーチしておいてよかった……。

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