愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「十六年ぶりくらいだよね。元気だった?」
「あ、うん……」


そうだ、小学校の卒業式以来だから十六年ぶりだ。
それでもひと目見て、目の前の相手が小学校の同級生の月島涼介(つきしま りょうすけ)くんだと確信したのは、その類まれな容姿ゆえ。

印象的な切れ長の二重目蓋は目尻にかけて綺麗な上向きで睫毛が長く、鼻筋もすっと高く整っている。
顔の造形がここまで美しい人は、月島くんのほかにいないと思う。

光に透けると茶色く見える髪の毛は、くせっ毛なのか毛先が緩くカーブしたようにセットされていてとてもお洒落。

身長は優に180センチを超えていて、上質なスリーピーススーツをビシッとカッコよく着こなした、大人になった彼には〝くん〟付けは合わないかもしれない。
けれど、優雅に目を細める上品で人懐こい笑い方に当時の面影が宿っていて、私は懐かしい気分になった。

当時から女子に大人気で、休み時間に月島くんが動けば女子が一緒について行く〝月島の大移動〟という現象がよく起こっていた。
他校からわざわざ見に来る子もいたほど。

成績も優秀で、先生たちからも一目置かれる存在だった。
月島くんは正に眉目秀麗パーフェクト男子。

そんな月島くんが、どうしてここに……?
モテモテなのにわざわざお見合い? しかも私と?

どうして……。


「毛利さん?」


月島くんが目の前に座っていることがますます信じられない気持ちでいっぱいな私は、月島くんに真正面から見つめられてドキッとした。


「あ、ごめんなさい! その、すごくびっくりしちゃって」


美しい顔が視界全体に広がり、目のやり場に困った私は視線を左右に泳がせる。


「びっくり?」


月島くんは私の発言を訝るように復唱した。


「まさかお見合い相手が月島くんだとは思ってなかったから……」


言ってしまってからはっとした。けれど、もう後の祭り。
< 7 / 119 >

この作品をシェア

pagetop