愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
◯
オープン記念パーティーから数日経ち、ジメジメした日が続いていた。
例年カレンダーからいって梅雨はもうすぐ明けそうなのに、一向に晴れない。
『婚約者だったんだ。昔の話だよ』
晴れないのは空模様だけではない。
あんなに綺麗で、堂々としている自信に満ちた女性が涼介さんの婚約者だったんだ。
彼女は私よりも、涼介さんとつり合っているのではないだろうか……。
オープン記念パーティーでのやり取りを思い出すたびに悲観的になって、モヤモヤした気分が続いていた。
その理由は、もうひとつあった。
『俺が出しておくよ。仕事で役所の近くに行く機会もあるし』
涼介さんがそう話していたはずの婚姻届が、まだリビングのチェストに置かれたままなのだ。
私はチェストの前に立ち、封筒を見下ろした。
「どうして提出しないんだろう……」
か細い独り言は、静かなひとりの空間に小さく響いて消えた。
もしかして、私との結婚を迷っているのだろうか。考えたくもない疑いが頭をよぎる。
涼介さんに直接聞けたら楽なのだけれど、聞く勇気がない。
私ではなく唯子さんを選ぶと言われるのが怖い。
時計を確認すると、もう出発する時間が差し迫っていた。
私は急いで身支度をすると、マンションを出て傘を差して歩いた。
今日は毛利亭の定休日なので美弥子さんとランチに行く約束で、駅で待ち合わせをしている。
気分転換にちょうどいい。
時間通りに美弥子さんが改札を抜けてやって来たので、私は片手を振った。
「ごめん、菜緒ちゃん。待たせちゃったかしら?」
「ううん、私も今来たところ」
「ずっと行ってみたかった洋食レストラン、予約取れたから早速行ってみようか」
美弥子さんの案内で、駅からの道を傘を差して歩く。
美弥子さんが言うには、煮込みハンバーグが有名な老舗のレストランで、人気でなかなか予約が取れないらしい。
オープン記念パーティーから数日経ち、ジメジメした日が続いていた。
例年カレンダーからいって梅雨はもうすぐ明けそうなのに、一向に晴れない。
『婚約者だったんだ。昔の話だよ』
晴れないのは空模様だけではない。
あんなに綺麗で、堂々としている自信に満ちた女性が涼介さんの婚約者だったんだ。
彼女は私よりも、涼介さんとつり合っているのではないだろうか……。
オープン記念パーティーでのやり取りを思い出すたびに悲観的になって、モヤモヤした気分が続いていた。
その理由は、もうひとつあった。
『俺が出しておくよ。仕事で役所の近くに行く機会もあるし』
涼介さんがそう話していたはずの婚姻届が、まだリビングのチェストに置かれたままなのだ。
私はチェストの前に立ち、封筒を見下ろした。
「どうして提出しないんだろう……」
か細い独り言は、静かなひとりの空間に小さく響いて消えた。
もしかして、私との結婚を迷っているのだろうか。考えたくもない疑いが頭をよぎる。
涼介さんに直接聞けたら楽なのだけれど、聞く勇気がない。
私ではなく唯子さんを選ぶと言われるのが怖い。
時計を確認すると、もう出発する時間が差し迫っていた。
私は急いで身支度をすると、マンションを出て傘を差して歩いた。
今日は毛利亭の定休日なので美弥子さんとランチに行く約束で、駅で待ち合わせをしている。
気分転換にちょうどいい。
時間通りに美弥子さんが改札を抜けてやって来たので、私は片手を振った。
「ごめん、菜緒ちゃん。待たせちゃったかしら?」
「ううん、私も今来たところ」
「ずっと行ってみたかった洋食レストラン、予約取れたから早速行ってみようか」
美弥子さんの案内で、駅からの道を傘を差して歩く。
美弥子さんが言うには、煮込みハンバーグが有名な老舗のレストランで、人気でなかなか予約が取れないらしい。