愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「私、昨日街で涼介さんが唯子さんと一緒のところを見て」
「え?」


パッと目を大きくした涼介さんは、やがて合点がいったように頷いた。


「ああ。それで昨日、ランチの話をしていたのか」


ははっと軽く笑う。
私はムッとして、涼介さんに包まれている手を強く握りしめた。


「私、怒ってるんだけど……」


笑うのを止めた涼介さんは、目を点にして静止した。


「唯子さんと腕を組んで歩いてた」


思い出したくもないので、私は苦虫を噛み潰したような顔と言い方になった。
私の手の甲を包む涼介さんの手が、ピクリと微動した。


「それって……妬いてくれてんの?」


手で口もとを覆い、信じられないといったふうに声にうれしさを滲ませた。


「あの、どうしてそんなにうれしそうなの? こっちは真剣なのに」
「ごめん、今すぐ抱きしめたい」


涼介さんは怪訝な表情の私をそっと抱き寄せた。


「嫌がっても、離す気なんてさらさらないから」


もぞもぞと体をよじる私に、意地悪そうに耳元でささやく。


「彼女、小さい頃に海外で生まれ育ったから誰にでもああいう態度なんだよ。フレンドリーで距離が近くて」
「そ、そうなんだ」
「昨日は高塚百貨店のジュエリーショップを紹介してもらってた」
「え?」
「母から受け継いだ指輪、菜緒には大きかっただろ? サイズを直して、古いからクリーニングもしてもらおうと思って」
「そっか……」


そういうことだったんだ。
一応事情に納得した私の背中を、涼介さんはなだめるようにトントンと優しくなでる。



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