愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
「驚かせたくて、黙っていたのは悪かった。けど、唯子とはなにもないし」
「でも、婚約者だったんだよね?」
「婚約者候補は親やその周りが勝手に決めてて何人かいたし、唯子はそのうちのひとりにすぎない」
きっぱりと言った涼介さんは体を離し、両目を潤ませる私の顔を優しく包容力のある笑顔で見つめた。
「俺としては、ただそれだけの存在だよ。なんの感情も湧かない」
なにをひとりで悩んでいたのだろう。
もっと早く自分の気持ちに素直になって、正直に涼介さんに伝えるべきだった。
「俺にとって大切な女性は、今までもこれからも、ずっと菜緒だけだ」
瞳から流れた涙が頬を伝った。
眉を下降させた涼介さんは、親指で器用にその涙を掬ってふっと微笑む。
「不安にさせてごめん」
謝るのは私の方だ。
こんなに真っ直ぐで温かい人を疑うなんて、私は何度間違いを犯せば気が済むのだろう。
これからはもっと自分に自信を持って、涼介さんを信じよう。
涼介さんの妻として、強くなりたいから。
「ううん、私の方こそ……」
小さくかぶりを振ったとき、不安の種をふと思い出した。
「そういえば、婚姻届は?」
入れた封筒がまだあるという事実も、私を不安にさせる一因だった。
「ああ、とっくに出したよ」
キョトンとした涼介さんは、私の不安を一蹴する。
「え、でも……まだマンションに封筒があったよ」
「ああ、元々入れてたあの封筒ね。もったいないから捨てられなくて。中身は空だよ」
「もったいない?」
「でも、婚約者だったんだよね?」
「婚約者候補は親やその周りが勝手に決めてて何人かいたし、唯子はそのうちのひとりにすぎない」
きっぱりと言った涼介さんは体を離し、両目を潤ませる私の顔を優しく包容力のある笑顔で見つめた。
「俺としては、ただそれだけの存在だよ。なんの感情も湧かない」
なにをひとりで悩んでいたのだろう。
もっと早く自分の気持ちに素直になって、正直に涼介さんに伝えるべきだった。
「俺にとって大切な女性は、今までもこれからも、ずっと菜緒だけだ」
瞳から流れた涙が頬を伝った。
眉を下降させた涼介さんは、親指で器用にその涙を掬ってふっと微笑む。
「不安にさせてごめん」
謝るのは私の方だ。
こんなに真っ直ぐで温かい人を疑うなんて、私は何度間違いを犯せば気が済むのだろう。
これからはもっと自分に自信を持って、涼介さんを信じよう。
涼介さんの妻として、強くなりたいから。
「ううん、私の方こそ……」
小さくかぶりを振ったとき、不安の種をふと思い出した。
「そういえば、婚姻届は?」
入れた封筒がまだあるという事実も、私を不安にさせる一因だった。
「ああ、とっくに出したよ」
キョトンとした涼介さんは、私の不安を一蹴する。
「え、でも……まだマンションに封筒があったよ」
「ああ、元々入れてたあの封筒ね。もったいないから捨てられなくて。中身は空だよ」
「もったいない?」