泡沫夢幻
「よしっ」
浮ついた気持ちを諭すように、ペチッと自らの頬を叩く。
あの日、確かに月下美人を見ながら泣いていた水瀬は俺に小さな決意を告白してくれた。
その決意の深さは底なしで、その声に、その目に、気がつけば俺も自らの決意を口にしていた。
そして、どちらからともなくお互いに求めあって…
朝起きた時にはお互いに強く抱きしめ合っていた。
結局どっちから告ったんだっけ?
俺の目覚めの第一声はそれだった。
「んふふ、どっちでもいいじゃん?」
すきだよ?と言って布団を被る顔をひよりをぎゅっと抱き締める。
ひとまず昨日よりすっきりした顔をしていて安心した。
ずっとこうしていたかったが、その日もバイトが入っていたので朝ごはんを軽く済ませてひよりを家まで送り届けて花屋にやってきた。
合唱団の活動で忙しそうなひよりとはその日から会えていない。
メッセージアプリでおはようからはじまって、他愛のない話をして、おやすみで終わる。
ただそれだけを繰り返している。
それだけなのに、不思議と心が温かくなるのだ。
で、思い出すたびに頰が緩んでるのが今の俺ってわけ。