泡沫夢幻
植木鉢に近づくにつれその匂いは強くなり、お互いに顔を見合わせる。
水瀬もおそらく同じことを思っているのだろう。
「わぁ…きれい…」
「きれいだ…」
植木鉢が見えると同時に、純白の大きな花が目に飛び込んできた。
先ほどまで微かに漂っていた香りは、確かにいつか母さんが教えてくれた月下美人の香りとそっくりで、懐かしさを感じる。
水瀬は感動したようでじっと見つめている。
「きれい…」
今にも消えてしまいそうなその声に、その後ろ姿に、
今俺が手を伸ばして掴まないと水瀬が本当に消えてしまう気がして…
「んっ」
気づけば後ろから、彼女を抱きしめていた。
*