狼の愛したお姫様
「なぁ、優秀な捨て駒抱えて女ぶん殴る気持ちはどうだった?」
東条に今までの募りに募った感情をぶつけると、相当効いたのか腹を抑えて膝をついた。
「あいつはよく鳴くぞ?牙狼」
乱れた前髪から見えた口角は気味の悪いほどに上がっている。
「…黙ってろ。」
もう俺の手も血まみれで、俺の手からか東条の顔からか分からないほど両方血まみれだった。
「…はぁ、はぁ…」
足りない。
叶望は、どれだけこいつに手をあげられてきたか。
どれだけこいつに傷つけられてきたか。
どれだけ、こいつに─────