寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

エンディングが終わり。場内が明るくなった。

照明が点くと、サイドの髪が乱れ、肌寒いはずなのに紅潮した顔でむくれている雪乃が露になる。

「はは、ごめん。大丈夫?」

「……大丈夫です」

晴久は、思ったより乱れていた彼女の髪を指で整え、かわいい形に戻す。

暗いからといって好き勝手しすぎてしまった、とやっと反省しつつも、かわいらしく睨んでくる雪乃が面白くて口もとが緩んだ。

上映中、暗闇で彼女の頭を抱いてキスをしてしまった。そんなことをするつもりはなかったのに、彼自身も驚いている。

それもストーリーが数分飛ぶくらい夢中になり、彼女の鑑賞の邪魔をしたことは間違いない。
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