寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
ホームには、乗車口に並ぶほど人が多かった。
これがすべて乗っても、二十分後に自宅の最寄り駅に到着する頃にはまばらに減ることが予想される。
ホームに冷たい風とともに颯爽と電車が到着し、雪乃は胸騒ぎのするまま乗り込んだ。
いつもよりも心臓が痛む。
最初は吊革を持って立っていたが、大きな駅で人が降りるとポツポツと席が空き始め、緊張状態のままとりあえず着席した。
車窓は異空間のような暗い世界。
雪乃にとって、真夜中の景色は夕方の暗さとは全く違う本物の暗闇だ。ドクンドクンと胸が鳴り、なにかよからぬことが起こる予感がした。
目的地の数駅手前の比較的大きな駅で、さらに人が降り。雪乃のいる車両には七人の乗客しか残らず、ごっそりと集団が抜けたことでその七人のメンバーが浮き彫りとなった。
ほとんどが中年の男性で、真っ黒なスーツのサラリーマン。