寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

皆子は雪乃の手を引っ張り、誰もいないフリールームへと駆け込んだ。

長テーブルと椅子がずらりと並ぶ広いスペースは使わず、彼女はそそくさと入り口近くのコーナーへ雪乃を追いやる。

「ハァ、ハァ」

よほど慌てていたのか息を切らし、珍しく深刻な表情の皆子が心配になった。

「皆子さん、どうしたんですか?」

困惑しながら尋ねる雪乃に、皆子は汗だくで「待ってね、今見せるから」とバッグに手を入れてかき回す。ブランドのチャームがついたスマホを鷲掴みにし、数回タップした。
彼女はその画面を思い切り雪乃の目の前へと突きつける。

「これ!」

ピントが合うまで数秒かかるも、その画面に映し出されているものを目にした途端、雪乃の顔色は青く変わっていく。

「えっ……」

「これ、雪乃ちゃんだよね? 高杉課長と腕組んでるの」
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