寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
火照った顔できちんと朝の挨拶をした雪乃だが、その表情は昨晩の最中となにも変わらなかった。
「色々考えてみたんだけどさ」
晴久はさっぱりとした顔でそう切り出す。
「は、はい」
「雪乃、ここを出て俺の家に引っ越しておいで」
「……え!」
彼女はキラキラの瞳を潤ませながら、すぐに「いいんですか?」と高く掠れた声で聞き返した。
見て分かる彼女の好意的な返事に、晴久も笑みを落とした。雪乃の頬を指で撫で、また手繰り寄せてキスを再開する。
「ずっと俺の家にいればいいよ。毎日抱くかもしれないけど」
キスをしながらのこもった声で会話を続ける。
「それは、私は全然大丈夫ですけど……」
「大丈夫なの? うれしいな」
ならさっそく、今からもう一度どう?と晴久の喉もとまで出かかっていたが、雪乃が不安げな顔になったため飲み込んだ。
「ご迷惑になりませんか? 私、もちろん同棲なんて初めてなので、なにか失礼なことをして嫌われてしまったらと思うと不安です……」
キスの体勢をひっくり返し、晴久は雪乃の上になった。