寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

壁に背をつけた晴久は雪乃を迎え入れ、甘くキスをした。

「晴久さん……」

名前を呼ばれるとさらに煽られ、キスは一層激しくなる。
キスを止めずに、晴久は話を続けた。

「決め手はタイミングだっけ?」

「あ……それは……」

雪乃はそれが正解か分からない。選んだ理由など晴久しか知りえないのに勝手に答えてしまったと気まずくなった。晴久は彼女の耳もとに唇を寄せる。

「俺も雪乃との出会いは運命的だったと思っているよ。でも雪乃じゃなくてもよかったとか、そんなはずない。どんな出会いでも好きになってた」

「……そうなんですか?」

「そうだよ。……まあ、言いたいことはほとんど岩瀬さんに先に言われちゃったけどな」

雪乃を誉めちぎって去っていった嵐のような岩瀬を思い出し、ふたりはキスの隙間で笑みをこぼした。
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