寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

「雪乃」

「えっ」

隠れていた晴久は我慢ができず、雪乃がひとりきりになったところを見計らい、彼女の手を掴んでフリースペースの中へと引き込んだ。

「えっ、えっ」

カーテンは閉まり、電気を消して戸締まりをしてある室内は昼なのに薄暗い。

晴久は、雪乃と室内に入るとドアを閉め、背後で鍵を掛ける。

そしてすぐに彼女を抱き締めた。

「晴久さん……!?」

なにが起こったのかすぐには分からなかった雪乃だが、晴久の腕の中にいるのが分かると顔を上げ、パクパクと口を動かしている。

「……見てた」

晴久は短くそうつぶやいたが、それは雪乃を誘うような甘い声。耳もとで囁かれた雪乃の身体は力が抜け、見られていた恥ずかしさも同時に襲ってくる。

しぼんでいくように彼の胸に収まると、雪乃は赤い顔をしながら「会社なのに……」と一応の忠告をした。

「鍵をかけたから大丈夫」

「ふたりで出てきたら怪しまれますっ」

「昼休憩を取っていたと言えばいい」

画期的な言い訳を提案され、雪乃は徐々に大人しくなっていく。
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