寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
(一杯だけ注文して、それで終わりにしよう)
「私はよく分からないので、飲みやすくて小さいものを伊川さんが決めていただけますか」
「オッケー」
マスターは伊川の注文どおりにカクテルを作り始める。
初めてシェイカーを扱う様子を目の当たりにした雪乃は素直に「すごい」と感心しつつ、不安な気持ちを隠せなかった。
逆三角刑の華奢なグラスに、ブルーの透き通ったカクテルが注がれる。
「乾杯」
「は、はい……」
グラスの茎をつまんで控えめに口をつけ、コースターに戻すと、すぐにもう一度「それで、ご相談とは?」と念を押して尋ねた。
「細川さんってさ、高杉課長といつから付き合ってるの?」
「え?」
質問に質問で返す伊川がさすがにじれったくなり、雪乃は「まだ最近ですけど」とトーンを落として答える。