寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「家はどちらなんですか」
ついに男性が尋ねると、雪乃は道路の先の闇を指差し、「歩いて数分です」と答えつつ、「近いので、大丈夫です」と憔悴した笑顔で付け足した。
「それなら俺の家とそう変わらない距離です。もしよければ、送りましょうか」
男性は、最初からこうすればよかった、これが当たり前の改善策だったとばかりに、立ち上がって彼女に手を差し出した。
雪乃は困った顔で、その手と彼の顔を交互に見る。
「そんな……これ以上ご迷惑をかけるのは申し訳ないです」
「迷惑ではありません。余計なお世話かもしれませんが、心配なんです。送らせてもらえませんか。傘のお礼だと思って」
優しい言葉で提案してくれる彼。
ここまで言ってくれるのなら甘えてしまってもいいのだろうかと、雪乃はおずおずと彼の手をとってみる。