寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

(なぜあんなことになったんだ……。俺はなにか間違っていたのか?)

すでにその社員は退職していて社内では事件も風化しているが、晴久にとってはトラウマとして残っている。
そのせいか、男性が苦手だという雪乃の気持ちもよく分かった。

「課長、大丈夫っすか?」

「うるさい」

睨まれて焦った小山は「ごめんなさーい!」とすり寄るが、晴久はほどよく無視をして歩き出す。

雪乃のことを思い出し、胸が痛くなった。
突き放すメッセージを送ったが、彼女からそれに対しての返事は来ない。

連絡するなと送ったのだから来なくて当然だが、どんな様子か気になって仕方がなかった。

(傷つけてしまっただろうか)

晴久は胸が痛くなるが、どうにもできなかった。彼女が社員だったという事実を知ると焦りがこみ上げ、平静を失って遠ざけるメッセージを送っていた。

どうしても、五年前の事件がフラッシュバックする。
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