寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
やがて最寄駅に到着した。
視線の合わない重い空気の中、手だけ繋がった状態で、ふたりはホームからすでにばらばらと人の去ったロータリーへと降りる。
不貞腐れていた雪乃もあきらめて晴久に従い、うつむいたまましぶしぶ彼と向き合った。
晴久は彼女の手に両手を添える。
「あんなメッセージを送ってしまい申し訳ありませんでした。あのとき、細川さんが同じ会社の社員だと知って取り乱してしまったんです。……実は俺、社内の女性からストーカー被害を受けたことがありまして」
「……え?」
「もう何年も前の話です。特に問題もなく普通に接していたはずの部下の女性が、裏では周囲に恋人関係だと言い触らし、ストーキングで家を突き止められ、鍵を盗んで複製されて家の中に入られました。当時は警察沙汰になっています」