白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
だから・・・・ごめん、稜ちゃん。

今日だけはその優しさに甘えてもいいかな?

少し甘えさせてくれないかな?

明日からは“いつも通り”のわたしに戻るから、今日だけ、今のこの瞬間だけでいいの。

わたしに魔法をかけて・・・・。










今日はいろんなことが目まぐるしく変化した一日だった。

ココちゃんの前で大泣きして、生まれて初めて告白をされて、抱きしめられて。

・・・・そして“ごめん”って。

すごく辛かった。


それでも、家に着く頃には稜ちゃんのおかげで笑顔が戻ったんだ。

稜ちゃんの優しさに触れて、心がほんわか温かくなった。


稜ちゃんの魔法はすごい。

男の子でも女の子でも、誰でも笑顔にさせる力がある。


そんな稜ちゃんの魔法にかかったわたしの心は、さっきまでの雨が嘘のように、雲一つないきれいな青空がどこまでも広がっていた。

そして、雨上がりに見た、あの消えかかった大きな虹。

それを一緒に見たいと思う人は、やっぱり稜ちゃん・・・・目の前にいる稜ちゃんなんだ。
 

< 239 / 474 >

この作品をシェア

pagetop