白球と最後の夏~クローバーの約束~
ベンチも応援席も、よりいっそう応援の声が強くなる。
「打てー!稜ー!」
「甲子園に行こうー!」
「決めてくれー!稜ー!」
ベンチでは、柵が壊れるんじゃないかというほどにガシガシと揺すって応援するみんな。
───『打てよー、打てよー、打て打てよー!』
応援席では、全校生徒の大熱唱。
「打てるよ、稜ちゃん・・・・」
わたしは、どうしようもなく浮かんだ涙が目にいっぱい溜まっていた。
それでも、口ではそう小さく何度もつぶやいた。
そんな中で2球目が投げられた。
今度は内角高めのカーブ。
ブンッ!
「稜ちゃんっ・・・・!」
稜ちゃんが渾身の力を込めて振ったバットは空を切った。
こんなに応援の声でガヤガヤしているのに、バットを振った音が聞こえた気がした。
そう叫んだわたしは、涙で稜ちゃんがぼやけて見えて、姿がはっきりしない。
・・・・でも、わたしが信じて見ていないとダメなんだ。
サッと涙をぬぐって、再び構えた稜ちゃんに目を凝らした。