白球と最後の夏~クローバーの約束~
3球目!
「ボール!」
主審がボールを取った。
ストライクゾーンを大きく外れた投球は、キャッチャーが慌てて飛びついてやっと取れたほど。
それほど、緊張や疲れやプレッシャーで球が荒れていた。
それから、4球目・5球目とも、西ノ宮ピッチャーは立て続けにボールを出した。
稜ちゃんは軽々と見送り、息つく間もなくツーストライク、スリーボールのフルカウント。
睨みを利かせてどっしり構える稜ちゃんは、普段の何倍も大きく見える。
━━『打てよー、打てよー、打て打てよー!お前が打たなきゃ誰が打つー!』━━
応援団の太鼓とメガホンが打ち鳴らされる中、わたしは必死に必死に願う・・・・。
稜ちゃん、打って!
そして、6球目が投げられた。
ど真ん中のストレート。
稜ちゃんは片足を上げてグイッ!とバットを引き、投げ込まれたボールにタイミングを合わせる。
この瞬間、わたしには全ての動作がスローモーションに見えた。
1コマ1コマ連続写真を撮っているような、そんな感覚。