白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「百合、おせーぞ!」

「おせぇっつの、花森!」


野球部の部室までは、あとはこの角を曲がるだけ・・・・。

そんなとき、周りの景色を目に焼き付けながら歩いていたわたしを呼ぶ2人の声がした。

その声のほうに目をやると・・・・。


「稜ちゃん、岡田君・・・・」


稜ちゃんは“こっち、こっち!”と手招きをしていて、岡田君は偉そうに腕組みをしていた。


「ごめんね。ゆっくり歩いてきたから遅くなっちゃって・・・・」


急いで2人のもとに駆け寄って、そう謝ったわたし。

だけど・・・・。


「“ぽけーっとしてた”の間違いなんじゃねぇの?」

「しーっ・・・・!バカ!岡田!百合が本気にすんだろ? 百合は冗談を冗談と思わねぇんだから」


岡田君は最後まで“皮肉王子”をやめるつもりはないらしく、こんな皮肉をさらりと言う。

稜ちゃんも稜ちゃんで、岡田君の肩を掴んでクルッとわたしに背中を向けて、ゴニョゴニョと小声で微妙なフォローをする。

・・・・あの、ばっちり聞こえちゃってますけど。

ふんっ。
 

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