ルミア
もう終わろうという音がした。
乾いた音が彼女の中に響きわたった。
ボワンとそれを膨張させ、私達の耳に入ってくる。
もう何度目か覚えてもいないが、
この音は私達の思考を行動を全てを制限しているように思える。
人々の足の下でヘニャッとなってしまった彼女も、
彼女自身で全てを制限しているようだった。
ゴミ溜めに投げ出されると、力なく息をする。
いや、ゴミ溜めに出される前も細くしか息が出来なかったかもしれない。
他人の思うように姿形、中身までを変えられ、
急に手放される。
戸惑いと安堵とで力のないため息が漏れた。
ああ、ルミア
君は美しい。美しいが故に弱いのだ。
人々に牙を向かないがために強いのだ。
どうかどんなに人の手が加わろうとも、
君は君のままでいてくれ。
そのほうが、そのほうが、きっと
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

蛾

総文字数/272

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

寝首

総文字数/495

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

無鉄砲な夜に撃たれて

総文字数/253

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop