初恋ラプソディ
「ごめん、森宮。俺から話があるって言って
おいて、こんなに待たせて。」

そう言いながら歩いてくる奏先輩を見て、茜先輩の顔色が変わった。

「奏、相談したいことがあるんだけど。」

茜先輩がこちらに足を向けた。

「ん、何?」

奏先輩は軽く返事をする。

「夏の大編成の曲なんだけどね。」

そう言いながら、奏先輩の腕を取った。

だけど…

「茜、それならまだ時間もあるし、来週の
部活の時に相談しよう。
お疲れ様。」

奏先輩はそう言って茜先輩に手を振る。

え、いいの?
だって、茜先輩、多分、一緒に帰りたくて待ってたんだよね?

「森宮、疲れたし、お茶して帰ろう。
今日は1年なのによく頑張ったから、
ご褒美に奢ってやるよ。」

「あ、はい… 」

って、こんな話、茜先輩の前でしたら、誤解されない?

私が2人を見比べてあたふたしていると、茜先輩は、ふっと笑った。

「分かったわ。
奏、美音ちゃんをかわいがるのはいいけど、
可哀想だからあんまりおもちゃに
しないのよ?
お疲れ様。」

茜先輩は颯爽と去っていく。

後ろ姿までかっこいいなぁ。

彼氏が他の女の子をお茶に誘っても余裕なんて、さすが茜先輩。

奏先輩とは小さい頃から一緒だから、深い絆で結ばれてるのかな。

「ほら、森宮、行くぞ。」

奏先輩に促されて、私は慌ててついていく。
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