初恋ラプソディ
「美音、デートって何?」

智恵が私の顔を覗き込む。

「だから、デートじゃなくて、ご褒美!
学年末を頑張ったから、遊園地に連れてって
くれたの!」

「!! もしかして、先週の日曜!?」

「うん。」

智恵とお母さんがなぜか顔を見合わせる。

「美音、分かってる?
あの、奏先輩だよ?」

「うん。」

「誰よりも部活が好きで、誰よりも部活に
熱心な奏先輩だよ?」

「うん。」

「その奏先輩が部活をさぼってまで、美音と
いたかったってことでしょ?」

「あ…… 」

そう… なの?

「もしかして、奏先輩に手を繋いだり
されなかった?」

「それは、お母さんが、私は方向音痴だから
迷子にならないようにって言うから… 」

「繋いだんだ?」

「迷子にならないために!だよ?」

「美音〜!
そんなの、言い訳に決まってんじゃん。」

「え、だって、奏先輩もそう言ってたし。」

「じゃあ、美音は?」

「私?」

「奏先輩に手を繋がれて、嫌だった?」

「……… 嫌ではなかった…けど… 」

「けど?」

「変な感じだった。」

「変?」

「なんか、うまく言えないけど、
恥ずかしくて、落ち着かなくて、
でも、あったかくて…
あ、でも、ポケットが暖かったのかも。」

「ポケット!?
手を繋いでポケット!?」

智恵が叫んだ。

「奏くんにしては、攻めたわね〜 」

お母さんは笑ってる。

「それだけ攻めて、この反応じゃ、
言えなくても仕方ないわね。」

え? 私のせい?

「奏先輩、かわいそ。」

「だから、奏くん、きっと茜ちゃんと
同じことをしたのね。」

お母さんの言葉に智恵が反応する。

「ああ、そういうことかぁ。」

って、どういうこと?

私が首を傾げて2人を見比べると、智恵が教えてくれた。
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