病んでる僕と最強の勇者たち
「これだろ、お前が取り戻したかったものって」



ブライアンはそう言って、さっきひげ面の盗賊から取り返したばかりの指輪を僕に手渡した。



僕はその指輪を大切に握りしめると、最強の勇者の顔をじっと見ていた。



「何だよ、お前。

オレの顔に何かついてるのかよ」



なぜ自分がじっと見られているかわからないブライアンに、僕は興奮気味に話しかけていた。



「僕はキミを探してたんだ。

最強の勇者と言われているキミを!」



「何だよ、お前。

急にそんなことを言われてもよ」



僕は戸惑っているブライアンに真っ直ぐに目を向け、自分の目的を彼に告げた。



「僕はキミにお願いがあってここに来たんだ。

キミに僕の仲間になって欲しい。

僕は最強のパーティを組んで、ベルミータ国を支配している闇の魔王、ダーギルを倒したい。

そして僕はベルミータ国に再び日の光を取り戻したいんだ!」



僕がブライアンに熱くそう語ると、ブライアンは僕にこう答えた。



「お前がやりたいことはわかったよ。

だけどさ、オレはまだお前を知らない。

お前はいったい誰なんだ?」



僕はブライアンのその言葉にハッキリとこう答えた。



「僕の名前は但野明彦。

この世界に転生してきた賢者です!」
< 40 / 239 >

この作品をシェア

pagetop