七色
 住宅と畑が交互に並んだのどかな景色は、都会の忙しなさを忘れさせてくれる。神長くんは油壺マリンパークの少し手前の駐車場に車を止め、ハッチバックからポップアップ式のテントを取った。

僕は場内にある小さな土産屋で、よく冷えたお茶を三本とビーチサンダルを買った。そこのおばあちゃんに見送られながら、僕たちは早速海を目指す。

 レジャーを終えて戻ってきたばかりの家族の明るい笑い声。じりじりと肌を焼く日差しと潮の香り。子供の頃はたしか、僕も海に連れて行ってもらうのを楽しみにしていた。懐かしい記憶がじわりと蘇る。

 神長くんが先頭を歩き、そのあとに僕と優月くんが続く。歩きながら、三人揃ってペットボトルの口を切った。

「二時くらいってなんか一番暑く感じるよね」
 優月くんはひとくちお茶を含み、わずかに傾きかけた太陽を恨めしそうに見上げた。

「真昼の熱がちょうど大気やら地面に伝わる時間だからな」
 神長くんは当たり前のようにそう言って、日差しから逃れるように俯く。

「なるほど、なんで二時が暑いのかなんて考えたこともなかった」
 素直に僕が納得すると「俺も」と、優月くんが笑った。
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