七色
2

 終点の三崎口駅に降り立ったときには、空はすっきりと澄み渡っていた。

 駅前のロータリーで合流した神長(カミナガ)という名の友人は、同い年ながらも優月くんと同じプロジェクトチームのリーダーらしい。黒い髪に切れ長な目。僕と違って見るからに仕事が出来そうな雰囲気で、羨ましくなるほどいい男だ。

 簡単な自己紹介だけ済ませて、僕たちはすぐに車で移動を始めた。

「声を掛けられたにせよ、よく優月に付いてきましたね。不安じゃありませんでした?」
 ハンドルを切りながら神長くんが訊いてきた。

「でもまあ、僕の目的は三崎口駅に来ることだけだったし、優月くんは犯罪者には見えなかったから」
 冗談めかすと、バックミラーに映る神長くんの目が微かに笑った。

「人は見た目じゃ分からないですね」
「俺を犯罪者みたいに言うなよ、神長」
 助手席で風に当たっていた優月くんが口を尖らせる。

「いや、お前の話じゃなくて、坂巻さんのことだよ」
「僕?」
 ……今のは一体どういう意味だろう。
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