七色
 大きな岩に足をかけて、滑らないように気をつけながら上に登った。穴あきチーズのように所々がへこんだ岩場は鮮やかな苔に覆われ、大小の潮溜まりが出来ている。

 子供たちの集まる一角に近寄って、優月くんが僕に手招きする。潮溜まりの中には、いかにも熱帯魚といった雰囲気の青い魚が泳いでいた。

 僕が思わず歓声を上げると、しゃがみこんで熱帯魚をじっと見つめていた子供たちがぱっと顔を上げた。
「あっちにもいるよー!」
 見ず知らずの男の子が僕を他の潮溜まりに誘う。僕が迷わずに立ち上がると、優月くんは何故かくすっと笑った。

 僕たちは案内された潮溜まりで、今度は黄色い熱帯魚を見つけた。
 本当にたくさんいるんだ。こんなことを口に出したら優月くんに怒られそうだが、僕の胸に驚きと小さな宝物を見つけた感動がこみ上げている。

「さっき見た青いのがソラスズメダイ。ここにいる黄色いのがチョウチョウウオっていうんだよ。チョウチョウウオに似たような形をした別の種類もいるかもよ。今日は何種類見つかるかな」

 優月くんの言葉に、日焼けした顔を海面すれすれに寄せていた男の子がぱっと顔を上げ、すぐに他の潮溜まりへと向かう。
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