七色
「はあ」
 懐が深いというよりは、器が大きいというべきか。なんというか彼はすごい人だと思う。

「俺は、坂巻さんみたいな人が優月についてきたことに驚きましたが」
「最初はいつの間にか行くことになってたって感じだったけど。でも、こうやって何かに巻き込まれると一人だったら絶対にできない経験ができて面白いね」

「なるほど。じゃあちょうどいいですね」
「へ?」

「優月って行動力がありそうに見えるでしょうけど、あいつは単に衝動的なだけで、基本的には腐るほど家で寝てるようなヤツなんですよね。だから多分、坂巻さんが適当に行き先を決めて、あとはあいつの嗅覚で面白いほうに進んでいって、俺が舵取りするとちょうどいい」

 神長くんがあまりにもと淡々と言うのがおかしくて、僕はつい笑ってしまった。

「たしかに、それだったら安心して面白いものが見られそうだ」

 神長くんもふっと口元を綻ばせた。普段はちょっと知り合えないようなタイプの人間と出会える。これも一人旅の醍醐味というやつなのか。
< 18 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop