激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
上流階級のたしなみというものを植え付けようとした親父からの指示であって教育のようなもの。
だから、ちっとも楽しくなかった。


「加代はそつなくこなすんだよな。生粋のお嬢さまって感じで、出来の悪い俺とは大違い」


加代は俺が叱られる横で涼しい顔をして食事を進めていた。

おそらく、親父に怒鳴られた経験もないと思う。


「頑張ったんですね、加代さん」

「ん?」

「きっと一流のお店の料理はおいしいでしょうけど、作法を間違えたら叱られるとびくびくしながら食べるのは楽しくないでしょうし。ご両親の期待に応えないとって、相当努力されたんじゃないでしょうか」


そんなふうに考えたことがなく、彼女の意見は新鮮だった。

加代は俺とは違って生まれつき器用だと思い込んでいたからだ。

でも、彼女がマナーを完璧に身につけていたのは、努力の賜物だったのかもしれない。

< 165 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop