激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
買取りを請求されたらどうしよう……。

焦っておしぼりでなんとかしようと手にすると、彼が隣にやってきて私の手を止めた。


「プロに任せたほうがいい。摩擦で生地が悪くなってしまうよ」
「そう、ですよね」
「大切な着物?」
「実はレンタルで」


隠しておこうと思ったが、正直に打ち明けた。


「そうだったんですね。普通、レンタル料にクリーニング代は含まれているよ。だから心配ない」


それを聞き、安堵の胸をなで下ろした。

着物のレンタルなんて成人式くらいしか経験がなく、そのときは母任せだったので知らなかったのだ。


「一緒に返しに行きましょう」
「いえっ、とんでもない」


不安そうな顔をしていたのかもしれない。
しかし、そんなことまでしてもらわなくてもいい。


「見合いのために借りてくれたんでしょ?」

「そう、です。お恥ずかしいのですが、着物を買えるほど生活に余裕がなくて」
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