激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
このとき私は、正也さんとの別れを選択して心底よかったと思った。

あの頃は彼の発言に打ちのめされて自分を責め、食事ものどを通らず体重が落ちるくらい悩んだのに。

あの時間がもったいなかった。


「私はあなたより仕事が大切だった。それだけです」


怒りで血管が切れそうだったが、ぐっとこらえて言葉を紡ぐ。


「は?」


彼は不機嫌を隠さず、眉をしかめる。

そういえば、いつもこうだった。

気に入らないことがあるとあからさまに顔に出す彼にびくびくしていたような。

しかし、恋は盲目とはよく言ったもので、それでも彼のことが好きだったのだ。


「お前のせいで、俺の人生計画はメチャクチャだ。あのとき、お前が仕事を辞めたら結婚するつもりだったのに」


そんなことを今さら言われても困るだけだ。


「正也さんは由実さんという伴侶を見つけたでしょ? 私も結婚してるんです。昔の話を蒸し返してなんの意味があるの?」

< 277 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop