激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
私がバックヤードでバラの棘切りを始めると、ローズパレスの梓さんから電話が入った。


「お待たせしました、重森です」

『桐生です。重森さん、山村さまが挙式を延期したいと言いだされたの。今、奥さまがおひとりで来られていて……』


それを聞いた途端、肌が粟立った。
正也さんは本気で結婚をやめようとしている可能性がある。


「そうでしたか」


梓さんと話しながら手が震えていた。

由実さんの人生を私が台無しにしたのではないかと怖かったのだ。


『それで、重森さんと話がしたいとおっしゃっているんだけど、時間作れないかしら?』


もしかして、私と正也さんの関係を耳にしたのかもしれない。

そうでなければ、プランナーの彼女と話せばこと足りるはずだ。


「今日はバックヤードの仕事だけですので、多分大丈夫です。今からうかがいます」

『いつも無理を言ってごめんなさい。お願いします』
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