激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
正也さんと対峙したあと、太一さんは『結婚に突き進んでも、破談にしても、その後の人生がどうなるかは自分次第だ』と口にしていた。

破談となっても、不幸と決まったわけじゃない。


「太一さんと話せてよかった」

『お役に立てて光栄です。お礼はベッドで期待してる』

「え!」


目を白黒させていると、『行ってらっしゃい』と優しい声でささやかれて、完全に気持ちが整った。



ローズパレスに到着すると、すぐに梓さんが飛んできた。


「重森さん、呼び出してごめんなさい。延期なんて……。こういう事態もなくはないんだけど」


彼女は眉をひそめる。


「そう、ですね」


担当したお客さまの挙式の延期は、私も一度経験がある。

そのときは、披露宴の招待客についての意見の相違から大ゲンカに発展して、結局延期どころか別れてしまった。


「重森さんに会いたいと、強いご希望なの。今、奥の個室にいらっしゃるから」

「承知しました」
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