激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
ローズパレスでは、基本的に旦那さまになる方の苗字で話を進める。
両方を使うと、手続きなどにミスが増えるからだ。

とはいえ、もちろん新婦側の苗字も必要だし、プランナーが管理している顧客データには書かれている。


彼女はどこまで話を聞いているのだろう。

私をわざわざ呼び出したくらいだから、正也さんが私の話に触れたのだろうけど。

彼女から柔らかい雰囲気がスッと消え、眉尻が上がったため緊張が走る。


「正也さん……以前、結婚を考えたことがあったんですって」


生島さまが鋭い視線をそらすことなく話すので、その相手が私だと承知していると確信した。


「はい」

「でも破談になって、もう結婚はいいと思っていたところに、私との縁談が持ち上がったそうで。でも、重森さんと再会して、あなたのことを忘れられないと自覚したと言うんです」


やはり全部聞いているんだ。


「山村さんと面識があったことを黙っていて申し訳ありません」
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