激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
私はテーブルに擦るくらいの勢いで頭を下げた。

私には正也さんへの気持ちは残っていないが、彼女が嫌な思いをしたには違いないからだ。


「言えないですよね、そりゃ。この、泥棒猫!」


鬼の形相でテーブルをドンと叩く彼女から辛辣な言葉をぶつけられて固まる。

しかし、私のほうからなにかアクションを起こしたわけでもないし、正直、今さら昔の話を蒸し返されて迷惑している。


「たしかに以前、山村さんとお付き合いしておりましたが、別れて随分経ちますし、私に恋愛感情はありません。今回、担当になったのはたまたまで、他のお客さまと同じように対応させていただいたつもりです。ご結婚というお祝いに、わざわざ水を差すようなことはすべきでないとお話ししませんでした」


唇を噛みしめる彼女に、なんとかわかってもらいたい。


「ふたりで会ったんじゃないの?」
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