激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「山村さんに待ち伏せをされて一度。ですが、別れた頃のことをなじられただけです。それに、私は結婚しておりまして、その場に主人も来てくれました」

「ご主人が?」


正直に話すと、彼女は目を丸くする。

私は太一さんがネックレスにしてくれた結婚指輪を彼女に見せた。

これは彼がくれたあの日から肌身離さず持ち歩いている。


「実は挙式はまだなんですが、入籍したばかりでして、私は主人のことを愛しています」

「そう……」


彼女は目を泳がせて、完全にトーンダウンした。


「それじゃあ、正也さんとのことは完全に過去の話ですか?」

「はい。そもそも仕事ばかりしていた私のほうが振られたんです。彼がその後どうしていたのかもまったく知りません」


由実さんはそれきり黙り込み、険しい表情を見せる。
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