氷の美女と冷血王子
「まずは、これを」

徹が出してきた1枚の書類。

私は受け取りサッと目を通した。

「これは?」

「秘書室からの要望書です」

えっ。

そこには、専務専属秘書である私が秘書課としてのチームワークを乱す為、業務に支障が出ていると書かれていた。

「そんな、私は・・・」

「分かっています。君は専務との同行で外出も多いし、勤務場所も他の女性達とは違うから、なかなかスムーズなコミュニケーションがとれないとは思います。特に、君以外の専属秘書はみんな男性だから、余計に悪目立ちするのかもしれないし。それについて責めるつもりはありません。ただ厳しいようだけれど、こんな意見が上がってきているんだということは知っておいてください」

「はい。これから気をつけます」

「気をつけたところで、どうなるとも思えないけれどなあ」

「そうですね」
確かに。

私から見ればいわれのない言いがかりにしか思えないけれど、彼女たちには気に障ることがあるんだろう。
そこは甘んじて受け入れよう。

「で、本題はこっちなんだ」

私の前に並べられた数枚の書類。

それを見た瞬間、私は息をするのを忘れそうになった。
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