守られて、愛されて。
家を出たとこで車を停めて待っていたのは以前会った、麗央さんと姉の美香だった。
「結構早かったな……祐一もお疲れ。」
祐一さんは、麗央さんの言葉が聞こえてないのか美香を見た。
「美香、ごめん……」
「…祐ちゃん、花奈を守ってくれてありがとう」
美香は知っていたのだろうか……いつから、だろう。美香に辛い思いさせてしまった。
美香は祐一さんと好き同士だ……彼と妹が関係を持っているだなんて知ったら、悲しいし許せないだろう。
「美香、ごめんなさい……っ」
「花奈…大丈夫だよ、祐一から全て聞いてたからさ、なのにごめんね姉なのに助けてあげられなくて本当にごめん」
「そんな、私……は」
みんなに申し訳ない。
私のこんな生い立ちのせいだ。お母さんに憎まれて、上条の玩具として扱われて……今、大切な人たちを傷つけている。
「もう、いいんだよ……花奈は自由になっていいの。花奈は幸せになっていいんだよ?」
「おねえ、ちゃん……」
「瑠衣(るい)だってそう思ってる……大丈夫、武くんなら花奈を幸せにしてくれるから」
瑠衣は、美香の弟で私の弟でもある……今は大学で経営学を学んでいる。
「でしょ? 武くん……花奈のこと頼んだよ。」
そう言うと、美香と祐一さんは同棲するマンション前で車を降りていった。