『彼の匂いを消す方法』:検索
「……ずっと携帯の画面見ながらお酒飲んでるからどうしたのかと思った」
「簡単に忘れられるものじゃないから」
「もう二度とこんな言葉、検索しないで」
携帯をテーブルに置くと、引き寄せられて抱きしめられた。
彼の匂いだ。柑橘系の香水みたいに爽やかで心地いい匂い。
安心する匂い。大好きな、彼の匂いが私を包み込んだ。
携帯なんかで検索しても、きっと分からない。見つからない。
「二度と手放すなんて選択、与えないから」
彼の匂いに包まれながら優しい言葉。
私ももう二度と我慢しない。きちんと言葉にしたい。
「それで、答えは」
手を繋いで彼の家に戻る中、少し緊張して彼が尋ねるので私は両手で彼の手を握って「よろしくお願いいたします」と震える声で伝えたのだった。
Fin


