愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「最低。」


 こんな言葉を言う日が来るとは、夢にも思わなかった。安い恋愛ドラマの捨て台詞のように、そんな言葉を吐き捨てて、来た道を引き返した。


 背を向けてから、祐一の声は一切聞こえてこなかった。去っていく私を引き止めようともせず、放心状態なのか、彼は追ってこなかった。



 それから、どのくらいの時間が経っただろうか。成宮さんを急かして車を出してもらい、あてもなく走り続けていた。


「いつから、知ってたの?」

 黙ったままボーッと外を眺めていた私は、やっと話す気分になれるまで感情が戻ってきた。すると、彼の言葉には耳を疑った。

「最初っから。」

「え?」

 彼を見ると、表情ひとつ変えずにいて、驚きのあまり沈黙が続いた。


 すると、路肩にゆっくりと車を止めた成宮さん。大きくため息をつくと、彼は話し始めた。

「あの二人のことは、詩音があいつと出会うずっと前から知ってたよ。なんなら、俺らが付き合ってた大学の頃からね。」

 私は、何を言い出したのかさっぱり分からなかった。

 大学の頃からあの二人を知っていた.....?

 混乱しながら、必死で理解しようと努めても、いろんなことを一気に知った私の頭は、もうキャパを超えていた。

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